2020年06月19日

エミッタフォロワ出力タイプマイクアンプの製作

BM-800のアンプ基板や、Schoeps CMC5と言われている回路にはエミッタフォロワ出力タイプのマイクアンプが使われています。今までこのタイプのアンプに手を出さなかったのは、エミッタ-コレクタ電圧が低いまま使われていてトランジスタの動作が苦しそうに見えるためです。しかし、定数を選べばエミッタ-コレクタ電圧を高くすることができそうなので、挑戦してみました。
公開されている回路をそのまま使っても面白くないので、三太郎さんのアイディア(マイクカプセルのドレイン側をK879のカスコード接続で受けて、ドレイン側の出力を取り出す方法)を加えた回路で基板を起こしてみました。pnpトランジスタは、電流-hfe特性の優秀な2SA1586(2SA1015のパッケージ違い)です。この基板を使って定数を変えた二種類のアンプを作ってみました。最初は、2SA1586のベース-エミッタ間に抵抗を入れてhfeの影響を抑え込むタイプです。
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もう一つはベース-コレクタ間の抵抗を大きくしてエミッタ-コレクタ間の電圧を上げるタイプです。コレクタ側の電圧はエミッタ-コレクタに入れる抵抗とトランジスタのhfeに依存するので適切な組み合わせにする必要があります。今回は上に書いたベース-エミッタ間に抵抗を入れたものと同じ1MΩを使いました。
TR-A-0.2uF-2s.jpg

0.2uFは40V以上の耐圧が必要ですが、0.22uFとか0.33uFのPMLCAPをまともに買うと1個1000円とかのすごい値段になるので0.1uFを二段重ねにしています。マイクカプセルは三太郎さんに選別してもらったXCM6035です。
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XLRコネクタと基板を接続している状態です。
DSC_1961ss.jpg

完成したマイクです。
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エミッタフォロワタイプの出力になるのでゲインが低いかなと思いましたが、DR-100Mk3を使った三太郎さんのテストでは意外とゲインが落ちていないようです。出力インピーダンスが低いことにより、負荷インピーダンスが低い場合でもレベルが下がりにくい事が効いているようです。
私が簡単に音質のテストした感じでは両者の音に違いがあります。B-E抵抗ありは落ち着いた音、B-E抵抗なしは少しハイ上がりのくっきりした音に感じました。
このあたりを含めて三太郎さんに評価をお願いしています。
posted by lobs at 22:08| Comment(0) | 録音

2020年04月29日

XLR内蔵マイクアンプは15Vで動作するか確認

2020年2月9日にマイクアンプ製作会を行いました。そのときに製作したマイクをベリンガーのDEQ2496に接続したみたとの情報が「Masaの手作りオーディオ」さんからありました。ファンタム電源電圧が15Vですので、動作するとは予想していなかったのでちょっとびっくり。
これは確認しておく必要があると思い、まず、先日書き込んだ 電圧を変更できるファンタム電源アダプタを作りました。
今回は、これを使って試験してみました。
FETに2SK879を使ったマイクアンプの回路ですが、三太郎さん式の回路はこちらです。
201907-m-23C-K879-s白黒.bmp

蝦名の回路(以前にも載せましたが、「ShinさんのPA工作室」の回路に三太郎さんのアイディアを取込んだもの)はこちらです。
e18c-K879-s白黒.bmp

使ったマイクはこちらです。マイクカプセルは三太郎さんに選別してもらったXCM6035(WM-61A互換品)を使いました。上側の灰色のブッシュを使った二本が三太郎さんの回路基板を入れたものです。
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マイクカプセルを接続した状態でないと電流バランスが崩れて動作確認ができないので、周波数特性などは測定できません。ファンタム電圧を変えたときに各部の電圧を測定し、またアンプの動作確認はDR-100IIを接続してマイクが拾った音を聞くことで行いました。
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DEQ2496のマイクアンプは回路図を見つけることができませんでしたが、DCX2496と同じであろうと推定しました。この場合15Vに接続する抵抗は1kΩになりますので、下の写真のようにピンヘッダにソケットを二段に重ねて挿入し、6.8kΩとパラに1.2kΩを入れてテストしてみました。今回は、15Vと12VでDEQ2496と推定した回路で測定を行いました。
DSC_1899s.jpg

2SK879差動FETに流れる全電流を以下に示します。差動FETの全電流はファンタム電源電圧の変化に対してほぼ直線的に変化します。DEQ2496と推定した条件との差は大きくありませんでした。
20200428_ファンタム電圧の影響調査2s.jpg

次に、マイクカプセル電圧とマイクカプセル電流を以下に示します。マイクカプセル電圧はファンタム電源電圧が15V、12Vで0.5V以下になってしまいます。DEQ2496と推定した条件との差は、やはり大きくありませんでした。
しかしマイクカプセル電流はマイクカプセル電圧の影響をあまり受けておらず、ファンタム電源電圧の変化に対してほぼ直線的に変化していました。
20200428_ファンタム電圧の影響調査1.jpg

マイクは12Vでもちゃんと音を拾って動作していました。マイクカプセルはかなり低い電圧から動作しているようです。
マイクカプセル電圧の変化から推定して、三太郎さん式の回路、蝦名の回路とも感度は下がりますが ファンタム電源電圧は24Vあれば安定に動作するようです。また、12Vくらいまで低下しても、とりあえずは音を拾うことができるようです。
これらの結果から、予想外に低い電圧から動作していることが分かりました。感度が低下するとか、負荷によっては出力電圧が不足するといったことは考えられますが、動作するという意味では環境の変化に強いマイクアンプであることが分かりました。
posted by lobs at 10:12| Comment(2) | 録音

2020年04月20日

ファンタム電源アダプタの製作

今までマイクアンプの動作確認を行う場合は、中華製昇圧コンバータを改造した基板(http://minor-audio.sblo.jp/article/184254436.html)で48Vを作り、6.8kΩの抵抗を基板用XLRソケットにはんだ付けした簡易的なものを使っていました。基板用XLRソケットは、DCX2496から外したものです。
このままでもあまり不便を感じて来なかったのですが、XLRコネクタ内蔵マイクアンプの供給電圧を変えた試験をしたいと思った時にバラック状態のままなのでショートの危険があり融通が利きません。
そこでファンタム電源アダプタであって、ファンタム電圧を変更できるようなものを作ろうと考えました。
48V電源は上に書いた昇圧コンバータを使い、基板部分の最終的な回路図は以下のようになります。電源基板には逆流防止と昇圧コンバータを動作させないときの絶縁を目的としてファストリカバリダイオードを入れているので、昇圧コンバータからは49.2Vを供給しています。電圧降下の大きなファストリカバリダイオードですが、電流が小さいのでこのくらいの電圧降下で済んでいるようです。
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ケースは秋月で売っているYM-150にしました。コネクタは、比較的安価で入手が容易なトモカの3-31Nと3-32Nです。加工途中の状態です。いびつな穴が空いていますが、隠れるので気にしないことにします。
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昇圧コンバータからの電圧はノイズフィルタなどを載せた電源基板で受けます。当初、電源基板にはノイズ低減を狙って大きな容量のケミコンを入れるつもりでいました。下の写真は電源基板に当初の予定の部品を組み付けた状態です。しかしケミコンの容量を大きくすると昇圧コンバータがハンチングを起こしてしまうことが分かりました。このため、回路図に記載のような容量に落ち着きました。
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結局電源部の基板は殆ど部品が載らないことになってしまいました。
なお、電源電圧を変える場合は、昇圧コンバータ基板からのコネクタを外して外部から別の電源を供給することになります。もちろん、昇圧コンバータの調整範囲内(個体差があるので大体13V〜50V、これ以上は基板上のケミコンの耐圧を超えてしまう)であれば昇圧コンバータに載っている半固定抵抗を調整することでも変更できます。
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アダプタ基板上のマイク信号が通るケミコンは、逆方向にも電圧がかかる可能性があるのでバイポーラタイプです。このようになる状態になる一つの例としては、録音機側でファンタム電源をONにし、このファンタム電源アダプタの昇圧コンバータが動作していない状態があります。
計画では100V 100μFのバイポーラケミコンを使うつもりでしたが、サイズが大きくて基板に載せるのに苦労しそうなので47μFを使いました。
通電試験の状態です。LEDの電流は2mAにしましたが、かなり眩しい。

今回の組み立てでは、奇跡的に ネジ穴を全て修正無しで開けることができました。いつもは4箇所開けると1箇所くらいは修正が必要でしたが、今回はそのまま基板、コネクタの取り付けができました。
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録音機に接続するコネクタ側です。
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スィチングの昇圧コンバータを使っているのでノイズが心配でした。電源部のケミコンの容量を大きくできなかったのでなおさらです。しかし、実際にマイク、録音機を接続して動作確認をしてみると、ノイズの心配は無いようです。このアダプタからXLR内蔵マイク基板に48Vを供給してもノイズレベルは問題が無く、十分使えるレベルであることが分かりました。
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出来上がったものは、意外と実用性の高いものになったような気がします。昇圧コンバータは外部から供給する電圧が5Vあたりから動作するし、消費電流も小さいので乾電池はやモバイルバッテリーで動作させることが可能です。
供給する基板の動作確認、電圧依存性の試験などに活用できるだけでなく、実際の録音にも使えそうです。
posted by lobs at 22:59| Comment(0) | 録音