2020年07月25日

ケルビンクリップの製作

実は最近までケルビンクリップなるものを知りませんでした。
抵抗を測定するときに4端子法を使うと接触抵抗の影響を受けにくくなり、測定精度が向上します。今までの4端子法のイメージは、JISの金属材料の試験方法に書かれているような測定法であり、電流供給端子と電圧測定端子が2個ずつの4個のクリップが必要だと信じ込んでいました。
最近、M氏のアンプを調整するために謀G寺に行ったとき、R-2R DACに使う抵抗の選別の話が出て、aitendoで売っているクリップを使うと2個で4端子法の測定ができるということを教えてもらいました。早速aitendoに注文して届いたクリップです。
DSC_2074s.jpg

このクリップは、先端の両側に金属板があって、二枚の金属板でリード線を挟み込むようになっています。クリプから2本の線を出してバナナプラグと接続します。
DSC_2077s.jpg

この手のクリップの名前が分らなかったので、ネットを調べていたらケルビンクリップという名前があることを知りました。 今まで知らなかった・・・・・・
早速、作ったケルビンクリップを使ってYOKOGAWA 7561マルチメータで抵抗などを測定してみました。
まず、ピンセットでショートしてみます。2端子法だと接触抵抗の影響をまともに受けていて260Ω程度の値が出てます。
DSC_2106s_short_2W.jpg

これが、4端子法だと見事に接触抵抗の影響をキャンセルできており、ゼロになっています。
DSC_2105s_short_4w.jpg

4.7Ω±1%の抵抗を2端子法で測定した結果です。接触抵抗の影響で0.3Ω程度大きな値になっています。
DSC_2083s_4_7_2W.jpg

これが4端子法だと接触抵抗分が低くなっており、抵抗の値に近い数字が出ます。
DSC_2081s_4_7_4W.jpg

1kΩ±1%の抵抗を2端子法で測定した結果です。
DSC_2100s-1k_2w.jpg

4端子法の測定結果です。このくらい抵抗値が大きくなると2端子法との差はほとんどありませんが、やはり0.3Ω程度小さくなっています。
DSC_2099s_1k_4w.jpg

ケルビンクリップを使うと、ワニ口クリップを使う感覚で4端子法の測定ができます。今回作ったものは、線が太すぎてちょっと使いにくかったので、線を補足したものも作ってみようかと思っています。
posted by lobs at 21:28| Comment(0) | 測定器

2020年07月24日

多出力定電圧電源を利用してみた

4月に購入した多出力定電圧電源ですが、なかなか出番がありませんでした。昨日になって、無帰還アンプを作った人のアンプの調整を行うことになり、やっと出番が来ました。
半導体アンプの場合は±電源が必要なことが多いので、定電圧電源は直列トラッキングモードで使うことが多いだろうと思います。しかし、調整するために使用する場合は、独立モードにしてプラス側、マイナス側の電流と電圧が表示されるようにした方が便利です。あと定電流モードに入る時の電流ですが、今回の場合は 出力段の石を壊さないように アイドリング電流の設定値よりも少し大き目のを0.3Aくらいにしておきます。
まず、電圧増幅段の調整を終えた後に、出力段に定電圧電源の出力を接続します。今までのようにスライダックを使った場合は、アイドリング電流を確認しながら徐々に電圧を上げて行きます。しかし、定電圧電源を使う場合は電流制限を掛けることができるので、電圧増幅段の電源を供給しておいて、いきなり出力段の電源を安定化電源から供給しても出力の石を壊す心配がありません。今回も、±5V程度をすぐに印加してみましたが、全く問題なく動作確認に入ることができました。
調整中の様子です。
DSC_2069s.jpg

DSC_2071s.jpg

この状態でアイドリング電流を設定し、定電圧電源の出力を通常動作付近の±15Vくらいまで上げました。
今までですと、出力段の電源電圧を変えたときにアイドリング電流がどのくらい変化するか測定することが難しかったのですが、定電圧電源を使っているので簡単に調べることができます。
今回は、±5Vから±15Vのすることでアイドリング電流が約10%増加することが分かりました。

やっぱり、アンプの調整に定電圧電源があると作業性が格段に向上します。なんと言っても出力段の石を壊さないという安心感があります。定電圧電源の価格は高めですが、アンプの調整を行うことが多い人は一台持っていたらよい装置ではないかと思いました。
posted by lobs at 01:18| Comment(0) | 測定器

2020年04月14日

多出力定電圧電源を買った

以前から実験用の定電圧電源を作ろうと 秋月の可変スイッチング定電圧電源の部品を集めていたのですが、なかなか気が乗らずにほったらかしてありました。最近、何気なくヤフオクを見ていたら、MCPジャパンという会社の多出力定電圧電源が安く出ていました。型番は、M10-QR303というもので、独立の30V 3A出力が2系統出ていて、直列、並列の動作も可能です。おまけで5V 1Aの出力もあります。
製造しているのはShanghai MCP Corpで中国のメーカーのようですが、販売代理店が、共立、マルツ、アズワン、Monotaroなどになっているので、信用してもよさそうです。また、企業で使う場合になると思いますが校正証明書も出してくれるようです。
これは、買わない手は無いということで買ってしまいました。
届いたM10-QR303に、8Ωの抵抗を接続してテストしている状態です。表示が独立しているので状態の確認が容易です。表示の精度は目安程度であれば問題無いのですが、8Ω負荷と出力電圧でそれらしい値が出ていて十分使えそうです。出力電圧の表示と手持ちのテスタの表示を比較してもほぼ同じ値になっていました。。
DSC_1777_ts.png

最初、左側の電流設定がゼロになっていることに気が付かずに電圧が出ないと焦りましたが、電流を上げていけばちゃんと定電圧で動作しました。
逆に定電流モードでも動作するということですので、例えば電流を0.2Aくらいにしておいて調整するアンプの出力段に接続するという使い方ができます。つまり、バイアス調整を間違えて大電流が流れるような状態でも0.2Aで制限され、電圧が下がってしまいますので 出力段のFET或いはトランジスタを壊すことが無くなります。
DSC_1781s.jpg

シリーズレギュレータの発熱を抑えるために、出力電圧に追従して電圧タップを切替えていると思われるリレーが見えます。この電源は、電圧を変えるとカチカチ音が出ていましたが、このリレーが動作したときの音のようです。
DSC_1786s.jpg

置き場所ですが、パソコンの近くがいいのでアンプの横に押し込みました。
DSC_1779_ts.jpg

我が家には不釣り合いな立派な電源ですが、これからちょくちょく役立つ場面がありそうです。
posted by lobs at 11:04| Comment(0) | 測定器